“温泉きくらげ”に、有名な日本酒の酒米生産者!? 鳥取県鹿野町で出会ったユニークな農家さんたち
アグリトラベラーの長根です。この時期はオフシーズンに入る農家さんや、まだまだ収穫真っ只中の農家さんなど、土地も特性で農業のスタイルが変わるので、いつも興味深く感じています!
さて突然ですが皆さん、ワーケーションってご存知ですか? ワーケーションとは「ワーク」×「バケーション」の造語で、休暇も兼ねながら旅先でリモートワークをする新しい働き方のことです。11月はこのワーケーションを体験するプロジェクトに参加する機会があり、鳥取県鹿野町に行ってきました。
もちろん、目的は現地の農家さんと会うこと。いつもは農家さんと前もって連絡を取り合った後に現地で会うことが多いのですが、この時はプロジェクトの運営スタッフさんに現地で農家さんを紹介していただくことになっていました。なので、どんな方なのか、どんな農業をされているのかも、当日会うまでのお楽しみ。とても新鮮な気持ちで、ドキドキしながら農家さんに会いに行きました!
今回は、2人の農家さんとお会いしたのですが、お2人ともかなり興味深い農業をしていたのが印象的でした。決して多くはないですが、人口が少ない田舎にも頑張って農業を続ける若手農家さんがいます。農家さんの高齢化で田舎の農地を守れる人が減っている昨今、若手農家さんたちは農地だけではなく、私たちの食を支える次世代の担い手です。鹿野町にも、そんな地域の農地と食を支える素敵な若手農家さんがいました!
サスティナブルな農業を目指すきのこ農家の新沼さん
最初にお会いしたのは、鹿野町で原木しいたけや菌床きくらげを栽培している新沼さん。新沼さんは鹿野町出身ではなく、県外から移住して鹿野町の農家になったそうです。きのこ農家と言いつつ、林業など様々な分野に精通していますが、どの活動にも共通しているのが「サスティナブル」を大切にしていること。自然に負荷をかけない農業を目指しているんです。
中でも興味深かったのが、試験的に行っている温泉熱を利用した菌床きくらげの栽培施設。鹿野町やその周辺地域では、温泉が出るエリアがあるんです。新沼さんの施設では、地下から組み上げた温泉でハウス内の温度調節を行っています。実際にハウス内にも入ったのですが、ハウス中にパイプが取り付けられていて、そこから組み上げた温泉が放水されていました。なので、ハウス内は常に蒸気があるサウナみたいな状態です。まさに、温泉で育ったきくらげですね!
ちなみにハウス内には音感センサーが設置されていて、温度が下がると自動的に温泉を組み上げてハウス内に放水し温度を上げる、逆に温度が上がりすぎたら温泉の組み上げと放水を止めるという、シンプルだけどとても合理的なシステムとなっていました。
思えば、農業は自然と共存して行うイメージがありますが、実はハウス内の温度を保つために暖房やボイラーを使うことで電気や燃料を消費したりと、意外とエネルギーを使っています。一方、新沼さんのハウスで必要なエネルギーは必要最低限の電気だけ。当然、温泉なのでお湯を沸かす必要もありません。とてもエコでサスティナブルなシステムです。今、全国的にも温泉熱など自然のエネルギーを活用した農業が増えています。美味しいだけではなく自然にも優しい農業、今後の展開がとても楽しみですね!
会社員から米農家に!きっかけはFacebook?有名酒蔵の酒米も作る白川さん
次にお会いしたのは、鹿野町の米農家である白川さん。白川さんはもともと都内で働いていたのですが、とあることをきっかけに鹿野町に単身移住。そして、鹿野町の米農家さんに弟子入りをしたという、ユニークな経歴をもつ農家さんです。
そのきっかけとは、Facebookで「米農家の後継者募集」というお知らせを見つけたこと。実は、白川さんのお師匠さんは鹿野町の中でも規模が大きい米農家。自身の年齢もあり後継者を探そうと役場や地域の方に相談していたところ、それを聞いた人がFacebookで後継者募集のお知らせを投稿、たまたま目にした白川さんは勤めていた会社を辞めて鹿野町で米農家として仕事を始めたのでした。(ご縁って不思議ですね!)
今では7町の田んぼを一人で管理しながら、できたお米は個人や飲食店に直販しています。白川さんが作るお米は、コシヒカリとヒトメボレの2種類。とても好評で、毎年、完売してしまうほどの人気っぷりなんです。鹿野町は、今にも迫ったきそうなほどの山間にあり、山から溶け出た良質な水が豊富です。お米作りにはとても良い土地柄に、白川さんの栽培技術が相まって、美味しいお米になるのだと思いました!
ちなみに、全国的にも有名な日本酒「日置桜」がありますが、そこの酒米も白川さんが作っているんです。実は、日置桜の蔵元・山根酒造場は鹿野町の隣町にあります。日置桜では生産者さんごとにタンクを分けて作っているので、裏のラベルを見ると白川さんの名前が載っています!ぜひ、日置桜を見つけたらみてみてください☺️
鹿野町に滞在していた時は、米糠で作るカイロ作り、水路補修、玉ねぎの苗の定植などアグリトラベラーとしてお手伝いも行いました!中でも水路補修は、田んぼの水漏れを防ぐために、アスファルトでできた水路のヒビをセメントで埋めていきます。土木作業みたいですが、これも米農家さんの農家さんの大切なお仕事の一つ。よく知られている田植えや稲刈り以外にも、地道だけど大切な作業がたくさんありますね。こうした仕事の積み重ねで、美味しい作物が育つことをしみじみと感じました。
白川さんのお米は、ホームページから購入することができます!是非、チェックしてみてくださいね!
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