アグリトラベラーが考える、これからの消費活動とは? コロナウイルス感染症の流行は農家さんにどのような変化をもたらしたのか?
こんにちは、アグリトラベラーの長根です。
今年の夏は本当に暑かったですね。徐々に涼しさを感じる日が増えてきた気もしますが、まだまだ残暑は続くとか。屋外の作業が多い農家さんにとって、暑さは大敵ですよね。こまめな水分補給と適度な休憩を心がけ、体調最優先でお仕事に臨んでください。
また、これからの時期は台風も心配です。今年は、例年よりも長い梅雨時期と夏からの厳しい猛暑と、生産者にとってはなかなか厳しい環境だったのではないでしょうか?
それに加えて、春先のコロナウイルスの影響による生活環境の変化で、いろいろと大変な思いをされた方も多かったのではないかと思います。
私自身も地方へ移動は必要最低限にしたり、農家さんのお手伝いを見合わせたりと、活動を制限せざるを得ない状況です。
今回は、コロナウイルスという未曾有の出来事によって、どんな変化があったのか、お付き合いのある農家さんから聞いたこと、私が肌で感じたことを書いてみようと思います。
コロナウイルスの流行は、農家さんたちにどう影響したのか?
農業といっても、農家さんのスタイルはそれぞれです。個人への直販をメインにしている方もいれば、JAや市場へ出荷している方も。また飲食店やスーパー、学校給食など出荷先もそれぞれで農家さんの生産スタイルや考え方によって異なります。
コロナウイルスによって学校が休校になったり飲食店が休業になったりと、今まで通りに出荷できなくなってしまい、「せっかく作った作物をどうしよう」と大変な苦労をされた生産者さんも少なくないと思います。
この頃は、学校給食として提供できなくなったお米や牛乳を地元のスーパーで提供するようになった。というニュースもよく見かけた記憶があります。実際に仲良くしてくださっている農家さんでも、学校給食として出荷するために収量を増やして生産していたのに、休校により出荷ができなくなってしまい、やむなく廃棄を決断した方もいました。
周囲の方から、即売会を開いては?という提案もあったようですが、傷みや、野菜に鬆(す)が入り、中が空洞になり始めているものも多かったので苦渋の決断をされたそうです。
また、無料で配るということも考えたそうですが、やはり、適正価格で売っている周囲の農家さんたちに迷惑をかけると思い、とどまったとお話しされていました。
農業は決して楽な仕事ではないですが、それでも農家さんが日々頑張れるのは、美味しく食べてくれる人がいるからこそ。やむを得ない状況だったとはいえ、廃棄するのだって本当に辛い決断だったと思います。それでも、自分のことだけではなく周囲の人たちのことを考え行動されたのは素晴らしいですし、そんな農家さんたちを私たち消費者ひとりひとりがもっと支えてあげられる、応援してあげられる環境を作りたいと強く思いました。
コロナウイルスから、消費活動はどのように変わったのか?
2020年春から外出の自粛やステイホームが推奨され、これまでにない日々を経験された方も少なくないと思います。飲食店はもちろん商業施設は軒並み休業、コンサートやイベントなどの娯楽も中止。コロナウイルスによって生活環境が大きく変化したのと同時に、日常生活に対する価値観にも影響があったように感じます。
個人的に特徴的だと思ったのが、コロナで苦しい環境になってしまった方を支えるためのクラウドファンディング。飲食店はもちろん、生産者など数多くのプロジェクトを見かけるようになりました。様々なプロジェクトを見ながら気づいたのが、「◯◯さんだから応援したい」「◯◯さん、コロナに負けるな!」というコメントと共にクラウドファンディングで応援購入されている方がたくさんいたこと。飲食店に行けば当たり前に美味しいものが食べられる、スーパーや直売所に行けば当たり前に美味しい食材が手に入る。普段は気づかないことでも、いざ生活環境が変わると「美味しいものを作ってくれる人の存在」のありがたみをよく理解します。これは私自身も体験していて、やっぱり好きな飲食店や農家さんが廃業してしまうのは寂しいものです。当たり前が当たり前でなくなることで、「美味しい」を支えてくれる方々の存在を強く意識するきっかけになったのではないかと思いました。
ネット販売をされている農家さんたちの話を聞くと、売上が伸びたという声も多く聞きます。外食はできないけど美味しいものを食べたい、農家さんを応援したいなどから、野菜を通販で購入されている方も増えているみたいです。
また道の駅などの直売所での売上が好調だという農家さんもいました。なかなか外食しづらい環境の中でも、やっぱり美味しいものを食べたいというニーズはなくならないと思います。
個人的に思うのですが、コロナという大きな変化を経て、この先はもっと生産者ひとりひとりにスポットライトが当たりやすくなるのではないかと感じています。美味しいが当たり前ではなくなってしまう時、また美味しいを当たり前にしてくれている人の存在に気づいた時、「◯◯さんが作ったものを食べたい」「◯◯さんだから応援したい」という気持ちをもつのは当然のことです。すでに、自分でホームページや通販サイト立ち上げて、消費者が直接購入できるようにしている農家さんも数多くいますし、農家さんと繋がれる購入サービスもたくさんあります。
消費者の皆さんには、どこどこ県産の野菜もいいですが、◯◯さんが作った野菜を手にとってみてほしいです。
生産者と消費者との距離がもっともっと近くなることを、心から願っています。
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